「太陽を抱く月」は、完全なるフィクション&ファンタジー時代劇。
舞台はは朝鮮王朝の仮想時代で、主役のフォンもヨヌも架空の王と王妃です。
ですがドラマに出てくるエピソードや用語などで
なんとなくどのあたりの時代背景を想定しているかを嗅ぎ取ることができますね。
というわけで、私が気づいた部分をまとめてみたいと思います。
★昭格署(シギョクソ)
「チャングム」や「女人天下」をご覧になった方にはおなじみの機関。
廃止を求めるチョ・グァンジョとそれに大反対の大妃(貞顕王后)の間で
優柔不断な中宗がクヨクヨと悩んでいた、あの昭格署ですよ。
昭格署は中宗時代に一旦廃止されていますが
その後もだらだら続いたのか(?)完全になくなったのは宣祖の頃のようです。
(宣祖は中宗と側室・昌嬪アン氏の息子のその息子。光海君の父王です)
★士林(サリム)
こちらも上記の中宗時代などによく出てくる存在です。
士林勢力VS勲旧・功臣派の対立がよく描かれていますよね。
★星宿庁(ソンスチョン)
私は「太陽を抱く月」で初めて知った部署でしたが、
調べてみますと高麗時代から存在していたもよう。
『朝鮮王朝実録』に星宿庁が最後に出てくるのは中宗時代だそうです。
★活人署(ファリンソ)
都の東と西にある活人署のうち、ヨヌが配属されたのは西活人署でした。
活人署には巫女が在籍しており、病人の快復祈祷などをしていたもよう。
原作小説によると、活人署と同じように星宿庁にも巫女が在籍しますが、
国と王室のために存在する星宿庁は活人署とは別格だったそうです。
この「活人署」にあたる医療機関は以前からありましたが、
「大悲院(テピウォン)」「活人院(ファリンウォン)」と名前を変えており
「活人署(ファリンソ)」という名前に改称されたのは世祖時代です。
★康寧殿(カンニョンジョン)
宮殿にある王の住まいとして康寧殿が何度も出てきます。
康寧殿があるのは、複数の宮殿の中でも「景福宮(キョンボックン)」。
景福宮は明宗(文定王后の息子)の時代に火事で消失しています。
★世宗時代の右議政
講釈大好きなヨヌがフォンに世宗時代の右議政の名前を挙げたことがあります。
(この右議政が誰だったかは覚えてないので録画分を再確認しておきます)
★ファン・ジニの詩
ドラマではそのシーンはなかったように記憶していますが
原作小説ではファンジニの詩を書いた手紙をヨヌが世子フォンに送ります。
ですので少なくともファン・ジニ生誕以降の時代となります。
★坡平ユン氏
ドラマでは気づきませんでしたが、原作の府院君の名を見る限り、
大妃(大王大妃)の家門は坡平ユン氏だと推測されます。
坡平ユン氏出身の大妃が権力を握った頃といえば・・・!?
時代を確定する要因にはなりませんが、特定の時代を彷彿させますよね。
上記のことを検証すると、「太陽を抱く月」の社会・政治状況は世宗や世祖以降。
ざっくりですが、朝鮮王朝の前半期(創生期除く)や中期あたりでしょうか。
具体的にいえば、中宗・仁宗・明宗・宣祖の頃を想定しているのだと思います。
また「大王大妃はこういう存在」「外戚はこういう存在」といった要素を凝縮し
シンボリックなキャラクターを構築しているのだと思います。
ただし上記の状況に当てはまらないのが、女性の髪形です。
登場する女性の髪型が三つ編みをぐるぐる巻き上げたカチェではなく、
シンプルにおろした髪をまとめたヘアスタイルですよね。
カチェは英祖時代に禁止されましたので、髪型はそれ以降のもののようです。
※原作小説ではカチェが登場しますので、カチェ時代を描いているようです。
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