「宮廷女官チャングムの誓い」に登場する王妃について、以前も触れたことがあるのですが、やはり気になっているので、あらすじの区切りがついた今、まとめなおします。まず、以下の系図をご覧ください。チャングムに出てくる王様・中宗は三人の王妃を迎えています。

■中宗の3人の妃のおさらい
★1人目の王妃:すぐに追放された端敬王后シン氏最初の王妃である端敬王后シン氏は、王妃というよりも、中宗が王になる前の大君時代の夫人。本来なら中宗即位後に王妃として栄華を極めるべき立場でしたが、その座を追放され、宮殿外でさびしく過ごしました。実家の一族から前王の燕山君の妃を輩出しており、燕山君体制の色が濃かったことから、中宗を王座につけた側近たちに追われたからです。
★2人目の王妃:仁宗を産んだ章敬王后ユン氏2番目に迎えたのは、章敬王后ユン氏。上の系図には世子(後の仁宗)しか記載していませんが、その前に孝恵公主という娘を産んでいます。しかし、仁宗を産んだすぐ後に他界しました。
★3人目の王妃:明宗を産んだ文定王后ユン氏3番目に迎えたのが、文定王后ユン氏。ドラマ中でチャングムと絡む王妃さまはこの方です。文定王后ユン氏は公主を数人産んだ後、慶源大君(後の明宗)を産みました。
このように中宗の妃が複数いるため、ドラマに出てくる王妃さまも一人ではありません。それは当然なのですが、これはどの王妃さま?と思う場面があります。そのあたりも含め、検証していきたいと思います。
■チャングムに登場する王妃は誰?
★第3話燕山君が廃位され、中宗が即位したときに登場した人は、端敬王后シン氏です。この方はドラマ中のセリフはなく、「宮殿から見える山の岩にチマをかけて中宗を想った」というエピソードのみ登場します。
★第6話チャングムとクムヨン(クミョン)が見事な連携プレーで、味覚が敏感なお姫様のためにお米のニオイを炭で消しました。そのときに王妃が登場します。まず、このお姫様は「公主(コンジュ)」と呼ばれているので、2人目の王妃である章敬王后の産んだ孝恵公主のようです。もちろん3人目の王妃・文定王后も公主を産んでいるので他の公主の可能性もありますが、この時点でのチャングムが宮中に入ってからの年月を推測しても、孝恵公主である可能性が高そうです。しかし、章敬王后は孝恵公主を1511年に産み、1515年に逝去しています。お米が食べられなくなった孝恵公主は、どう見ても4歳程度ではなさそうなので、史実を重視するなら文定王后でなくてはおかしいです。が、おそらくドラマ的には章敬王后であると考えて間違いないと思います。(『公式ガイド』によると第6話に出たのは章敬王后だそうです)
★第10話クムヨン(クミョン)が、懐妊中の王妃のお腹の子の性別を変えるための呪いの札を置くように命じられたこの回は、王妃をチェックというよりも、その呪いが誰に向けられたものだったかを検証したほうがよさそうです。第9話でチャングムのつくった饅頭を食べた大妃が「王子(元子?)にも食べさせたい」と言っていることから、世子が生まれていると判断します。他の王子を指していた可能性もありますが、傍系が省かれているこのドラマでたとえば福城君(側室・敬嬪の息子)である必要があるかというと、そうではないと思うので、おそらく後に世子となる王子を指すのではないかと思います。ということは、この時点で章敬王后ユン氏は亡くなっているはずです。なので、史実重視ならば、懐妊していたのは文定王后ユン氏となります。
★第11話王子が麻痺を起こした際に王妃が登場しています。この王子はウォンジャ(元子)と呼ばれているように聞こえますね。元子が必ずしも世子というわけではないようですが、上記で述べたように、後の仁宗であると考えるのが自然です。すると、史実重視なら文定王后ユン氏、ただしドラマの流れからいくと章敬王后ユン氏という設定でつくられているような気がします。このあたり、章敬王后と文定王后の設定があいまいなんですよね・・・
★第15話ハン尚宮とチェ尚宮の競合の回です。大妃(貞顕王后ユン氏)が王妃に、ソルロンタンを食べてみなさいと声をかけていたシーンがありました。この王妃が誰かについては、19話と併せて考えてみたいと思います。
★第19話この回もハン尚宮とチェ尚宮の競合エピソードです。これ以降チャングムと絡むことになる文定王后ユン氏(を演じる方)が初めて登場します。しかし15話の王妃と違う人です。話の流れからして、この一連の競合の合間に、王妃逝去・国葬・新王妃揀擇(かんてく)・国婚などが起きたとは考えにくいので、同じ人であったとみなすのが自然です。つまり、演じる人はチェンジしているけども、15話も19話も文定王后ユン氏と思ってよいと思います。そして今後の王妃はすべて文定王后ユン氏となり、大妃→大王大妃になるまで登場します。